第二子が生まれ12月議会では育休期間とさせていただいたため一般質問を行いませんでしたが、今回の3月議会ではまた質問に立ちました。
3月議会では(正確には2月の開会時ですが)市長が新年度を迎えるにあたっての「施政方針」という、市としての基本的な方針などを述べる機会があります。
市の事業は細かいものまで相当なボリュームになりますが、施政方針を聞けば(読めば)市が新たに行おうとしていることや引き続き行おうとしていることなど、大まかに方向性をつかむことができます。
(リンク)施政方針 – 袖ケ浦市公式ホームページ
粕谷市政となってから台風からの復旧・復興とコロナ禍という、なかなか独自色を出しにくい状況だったのですが、今回はこの施政方針からだけでも独自色が伺える内容になってきたため、その内容について中長期的な視点からいくつか質問を行いました。
どれも「すぐに変えます・やります」と言える話ではないのでやや長い目でみた投げかけという感じですが、私なりに思うところを時間いっぱい盛り込みました。
【①不妊治療について】
4月から、国の制度変更で特定不妊治療(高額な不妊治療)についてはこれまでの助成金制度から保険制度へ組み込まれる変更があります。
これまでは県から30万円という助成金に上乗せする形で、市として15万円を助成していましたが、これが宙に浮くことになります。
来年度としてはひとまず昨年不妊治療を行った方に向けた助成の予算を確保しているだけで、それ以外は未定の状態であることがわかり、これを保険適用後でも負担が大きいケースや、一般不妊治療への助成に回してはどうか、という質問を行いました。
一般不妊治療は既に保険適用されているものもあり、特定不妊治療に比べれば安価なのですが、保険適用後も数千円~1万円程度が毎度かかるのではないかと思われます。
一回や二回ならたいした話ではないのですが、いつまでかかるかわからない中毎月発生し、しかも収入がまだ不十分な若い世代も受けることから、こうした部分への助成を行うことで気軽に治療を受けやすい環境を整え、早期に不妊治療に取り組めるようにすべきだと考えます。
若年層の収入が伸び悩む中、どうしても生物学・医学上早い段階で不妊治療に取りかかれたほうが妊娠確率が上がるということがありますので、若いうちから気軽にこうした治療にアクセスできるべきだと思うのです。
【②児童虐待対策の新体制】
これも昨年にも質問しているのですが、児童虐待対策として、児童相談所手前で切れ目のない支援をするための「子ども家庭総合支援拠点」という組織体制を整えることが国から設置目標とされていました。
当然ながら誰でもいいというものではなく専門的な資格や知識・経験が求められるため、昨年時には人員確保に難航している状況でしたが、無事設置目標の本年4月に間に合わせる形となりました。
これにより児童虐待等への早期対応や児童相談所などの関係機関との連携強化や、日頃の相談の中から支援が必要な家庭を見出して早期対応を図ることが期待されるとのことです。
質問としては、この組織体制や今後の体制維持方針について聞きました。
組織体制としてこれまで4名で運営していた子育て世代総合サポートセンターに新たに3名を配置する7名体制として子ども家庭総合支援拠点の機能を備えるということで、大幅強化と言えると思います。
今後この組織体制維持のために、適宜適切な採用や専門研修の受講や資格取得の機会を設けるなどする方針です。
【③オンライン診療の展望】
新たにオンライン診療の支援を行うという方針が出されましたので、その展望について質問しました。
ひとくちにオンライン診療といっても様々な形が想定され、例えば平成30年に総務省がまとめた調査研究では、シンプルにオンラインで診療を行うモデルのほか、看護師が患者宅に行ってオンライン診療を支援するモデルや、介護施設でオンライン診療を行うモデルなどが示されました。
今回の袖ケ浦市としての支援は率直に言って手探り状態なので、自治体がリードするというよりも、まずは医療機関主体で必要な設備導入の支援を行うという事業内容だそうです。
また、JCOMさんが昨年からケーブルテレビを利用したオンライン診療サービスを開始しており、袖ケ浦も対象ではあるものの医療機関がまだ登録されていない状況ですが、前向きに検討していただいている医療機関もあるようです。
【④交通安全対策】
昨年は八街での交通事故を受け、全国で通学路の緊急点検が実施されました。
平時でも例年点検は行われているのですが、通常以上に細かい点を拾う点検となり、箇所数だけで言うと22件→49件となったとのことでした。
ちなみに結果はこちらで見られます。
通学路緊急一斉点検の結果を公表します – 袖ケ浦市公式ホームページ
生活道路では「ゾーン30」という制限速度30km区域を設ける場合があるのですが、より確実に速度規制を守らせるため、段差やポールなどの物理的な要素を組み合わせる「ゾーン30プラス」というものの設定が新たに国から示されました。
今のところ具体的に話が進んでいるような区域はありませんが、地域住民から車の速度について懸念の声が聞かれる区域もあり、市側からも積極的に選択肢として提示していってほしいと思います。
また、やはり八街での交通事故を受け、国から交通安全対策の大きな助成制度が予算で組まれました。
この活用方針を確認したところ、市道坂戸石塚台線の国道16号から市民会館までの区間、市道蔵波鎌倉街道線の蔵波台6丁目地先についてこの助成制度を使って対策を実施していく予定とのことでした。
【⑤プラスチックごみの対応】
この4月から、「プラスチック新法」と言われるプラスチック資源循環法が施行され、これまで自治体によっては回収されていた容器包装プラスチックに加え、その他のプラスチックごみも回収可能になってきます。
袖ケ浦市としては平成30年の審議会でプラスチックごみの回収をコスト面などから見送っていますが、次のような指摘をしました。
・袖ケ浦市の資源ゴミ率(どれだけ資源ゴミとして分別しているか)は県内でも比較的健闘しているほうで、上位はプラスチックごみ分別がある自治体が多く占めている。プラスチックごみ分別を設けることはごみ減量化につながる。
・無料→有料化は別として、ゴミ袋の値上げだけで単純に減量化につながるかはエビデンスに疑問。
・審議会でプラスチックごみ回収を見送りとした平成30年に環境省にプラスチック資源循環戦略小委員会が設置されており、そこから急激にプラスチックごみをめぐる社会の課題意識や法・制度が変化しており、もはや当時と同じ前提に立てる状況ではない。
・ごみ処理手数料の改定(ゴミ袋の値上げ)が検討されているが、プラスチックごみ分別を設けることで、減量できる手段をつくることが先決、または同時にすべきではないか。
・容器包装リサイクル法、プラスチック資源循環法と努力義務とはいえ、プラスチックごみに対して2週遅れの状態になってしまった。
昨年あたりから市も雑紙回収ボックスの設置や子供服リユース企画など努力はうかがえますが、そもそもの部分でいろいろと根拠や見通しに甘いところが見えるように感じます。
ゴミの話はまた別途記事にするかもしれません。
さて、大分長文になってしまいました。
一般質問なのでどうしても足りないと感じる部分や疑問に思うことが多い記事になってしまいましたが、冒頭にも書いたとおり色々と新しい実験的な事業も予定されていますので、次回の記事でご紹介したいと思います。