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住民自治

関東若手市議会の会研修@埼玉県吉川市、八潮市

関東若手市議会の会という、若手市議会議員(35歳までの初当選、45歳まで)の会での研修会として埼玉県吉川市・八潮市にお邪魔しました。

<吉川市>
特産品(ナマズ)を用いたまちづくり、市民協動、子育てNPOの話を伺いました。

特に市民協働については、NPOの新規事業への補助金制度や、市民が研修を受けながらいろいろな政策提言をダイレクトに市に行う「市民シンクタンク」制度を実施。
実際に、ベトナム人住民が多いことから「ベトナムday」というイベントが市民発案で実現するなど、一つの協働の形を見ることができました。
市民シンクタンクという取り組み自体はほかにもやっている自治体があるのですが、「個人でも団体でも、単位を問わない」「提案のタイミングはいつでもいい」「内容も問わない」とかなり自由でした。
今のところ9つの政策提案があり、一部採用にとどまった提案はあるものの、不採用はありませんでした。
決定する幹部職員の方もやはり「せっかくなので一部だけでも汲み取りたい」という気持ちが働くそうで、市民のアイディアを実現しやすい仕組みであると感じました。
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そういえば今回は食べてませんが、ナマズは最近うなぎの代用魚としても話題ですよね。
「むしろうなぎより脂がのっている」という話も聞いたので、そのうち食べてみたいです。
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<八潮市>
子育てステーション、1万歩運動の話を伺いました。

子育てステーションでは物理的な幼児向けスペースを設けた上で、そこから各種相談の窓口機能も果たしていました。
また、やや高齢出産に近い年齢のお母さんだと「こういう場所は若いお母さんばかり」というイメージ(あくまでイメージで実際そんなこともないのですが)が先行して行きづらくなってしまう傾向があるため、相談相手を自宅に派遣するホームスタート事業も行っていました。

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協働や子育てなど、まさに袖ケ浦で取り組まなければならないことの話を伺え、また同世代の議員との交流で気持ちも新たにできた実りある研修でした。

宮崎県小林市視察

さて、大変遅くなってしまって恐縮ですが、先日総務企画委員会で視察に行った宮崎県小林市の取り組みについて書きたいと思います。

面積は袖ケ浦市の6倍ほどあるものの、人口は4万6千人と比較的近い市です。

 

①PRムービー

小林市は「方言の癖が強くて聞き取りにくい」というのを逆手に取り、「方言がまるでフランス語のように聞こえる」というPRムービーを作り、数年前にネットを中心に話題となりました。

おもしろCMとか好きな方はぜひ↓

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http://www.tenandoproject.com/movie1

ターゲットとしては全国の不特定多数に向けたシティセールスではなく、内輪をターゲットにした「インナープロモーション」の発想に。

市民からなるワークショップを設置し、「ここで出た意見はいくら難しくてもカタチにすべく奔走しよう。無理だったらそのときに謝ろう」という決め事を市役所事務局でしたそうです。ワークショップはともすると「市民の意見を聞いた」という建前に使われがちなので、覚悟が素晴らしいと思います。

また、ムービーを含めたPR事業を総合して「てなんど小林プロジェクト」と呼んでいるのですが、「方言(西諸弁)を使ったポスターをつくる」という事業では、市民がネタを投稿➡市役所で作成という形式を採用。しかもゼロ予算事業だったため、作成といっても画像を作ってネットにアップするだけだったのですが、実際にポスターが欲しいという声が出てきて実費負担で配布を始めたそうです。

 

②新庁舎建設

小林市特産の木材を利用した木を前面に出したデザイン、市民の方の利便性を重視したワンストップ窓口といった特徴がありましたが、個人的に一番注目したのは耐震対策でした。

ビルを建てる際の耐震対策としては現在大雑把に「耐震」と「免震」の手法に分かれます。

耐震構造(単純に頑丈につくること)はコストが安く済みますが、揺れは抑えられないため、命の危険性はないにしても市役所庁舎のような防災機能が求められるところでは、内部の機器類が被害を受けてしまう可能性があり、防災拠点としての機能やその後の業務復旧に支障が出かねません。一方で免震構造は揺れを抑えるため、建物内の機器類被害も最小限に抑えることが可能な一方、かなり建築コストがあがってしまいます。

小林市の新庁舎では、全体としては耐震構造としてコストを抑えつつ、サーバーなど重要な機器がある部屋だけに「免震床」を採用して機器類の被害を抑える構造を採用しており、とてもバランスのとれた方式であると思いました。(もちろんお金に余裕があれば1棟まるごと免震構造にするのが理想ですが…)
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③協働のまちづくり

市民や事業者、行政がお互いに協力してまちづくりをしよう、という「協働」ですが、小林市の取り組みの特徴は「きずな協働体」というまちづくり協議会の組織を作ったことでした。

地域住民の組織ですが、自治会だけでなくPTA・消防団・企業なども含めたネットワークを構築しようというもので、お祭りやイベント開催、景観整備、防犯灯増設など地域ごとに必要と考えた事業を実施しています。
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加入率の問題がある自治会だけではなく他の組織とも連携するという点で面白いと思いましたが、一方で既存の団体との差別化などに課題もやや感じました。

 

総括的なこととして、職員の方から「自発的に考えて行動する」という空気をとても感じたのが印象的でした。

夜に市長とお話しする機会があったのですが、やはり「職員のやりたいことをやってみる」というのはかなり意識されているそうです。

議会の廃止と直接民主主義

人口400人の高知・大川村で、議員のなり手がいないため議会を廃止して「町村総会」を設置して直接民主主義制度を検討へ。
実は地方自治法で「町村は議会を廃止して総会を設置できる」ということが元々定められています。

「町村総会」設置には…前例少なく課題山積/毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170501/k00/00m/010/113000c


この問題は「議員のなり手問題」と「現代の小規模自治体において直接民主主義制度は可能か」という2つのポイントがあると考えます。

①議員のなり手問題
議員報酬がマスコミで取りあげられるのは、国会議員とせいぜい政令指定都市で市長が報酬を下げると言ったときくらいですが、それ以外の地方自治体はさほど報酬は高くありません。
しかも4年に1度選挙で失職リスクがあり、会社のように厚生年金もない…
そうなると「サラリーマンをやっていた方が収入的には良い」という状態になります。
実際私もこの状況だったので当初は親の反対を受けました笑
結果、地方議員のなり手が定年後の高齢者か相当に融通がきく個人事業や会社経営、あるいは不労所得がある方に限られがち…ということに(※そういう方が悪いということではなく、偏ってしまうのがどうか…ということです)。

それでもまだなり手がいればよいのですが、記事の大川村では報酬月額15万円ということで、ここからさらに年金や保険料も納めると相当に厳しくなります(さすがにここまで低いのは村レベルの規模くらいですが)。
まあこの条件で議員になれる人(なる体力があって生活も成り立たせられる人)はなかなかいないですよね…

②現代の小規模自治体において直接民主主義制度は可能か
直接民主主義、と言われても学生の時に教科書で読んだくらいという方も多いのでは。
要するに間接的に議員を挟んで物事を決定するのではなく、様々なことを住民投票のように直接賛否を示して決定していくというやり方です。

私は前職でマンション管理の仕事をしていましたが、実はマンション管理組合はかなり直接民主主義に近いやり方で運営を行っています。
日常的な諸問題については、一定の権限内でマンション住民から選ばれた理事が判断するという間接民主主義的なものですが、予算・決算の承認や管理規約変更(自治体からしたら条例ですね)を行う際には必ず全住民を対象とした総会の決議をとらなければならないとされています。
ただ、正直に言って「審議の前に複雑な問題を相当数の住民に理解してもらう」というのは50戸も超えればほぼ不可能に近いというのが実情です。
しかしながらその中でも多様な意見や議論がある中で、詳細な内容理解は難しくても「何を重視しているのか」「何が不安なのか」を汲み取ることは可能ですし、総会の場で指摘される場合があるというチェック機能の役割はある程度果たすことが可能です。
私が担当していたマンションは数百戸規模のものもいくつかあり、住民数でいうと1~2千人の単位になってきますが、この間接民主主義+直接民主主義的な制度がそれなりに機能していたことを考えると、マンションの仕組み(区分所有法など)をある程度参考にして小規模自治体の自治制度を検討することもできるのではないかと思います。

もちろんこの類の話に万能薬はありませんので、おそらく委任制度を作らないと総会が成立しない、複雑化した現代の制度での高度な政治判断には不向きなどの課題もありますが、現に議会の成立が危ぶまれているような自治体においては、何がベターなのか、ということで検討しなければなりません。

残土条例の委員会審議と修正案提出

水曜に建設経済常任委員会が開催され、残土条例の議案が審議、当会派を代表して笹生典之議員から修正案を提出するも、残念ながら否決となりました。
(大規模な残土・改良土埋立にあたっては、周辺300m以内の住民の8割同意を必要とする条例案)

ここのところはひたすら日々修正案を検討して、条文として書くという毎日でした…

以下、なぜ修正案を出すに至ったかの詳細を書きたいと思いますが、やや長文になってしまいますので、先にまとめると次のような内容です。

「不適切な残土埋立を心配する気持ちは分かるが、周辺住民の同意を条件とすることは、財産権侵害あるいは条例制定権の濫用とみなされる恐れがある行き過ぎた規制であり、さらには住民を実質的な許可権者とすることで訴訟リスクを住民にも負わせることになってしまう。そうであれば、同意までは求められないがギリギリの合法的な内容で住民理解を深められるようにしましょう。」

不当に産業廃棄物を投棄するような業者がいるのも確かですし、土壌汚染や土砂災害等が発生することは当然避けなければなりません。また、それらを踏まえて住民の方が安心できるような制度にする必要があります。

本条例の目的を最初に確認する必要があろうかと思いますが、目的はあくまでも「リスクが相当に低い安全基準を設けること」「適正な業者と不適正な業者のふるい分け」「住民が安心できる制度設計」というあたりに集約できると思います。某国で例えるなら一部に過激派がいるからといってその宗教全体が悪いわけではないように、残土埋立事業そのものが悪いわけではありません。建物を建てたり道路を整備したり、何かしら建築土木の工事を行えば残土は発生します。

一方で住民が不安に思う気持ちも当然です。変なものを埋め立てられないか、近くの農地に土壌汚染の影響が出ないか、崩落の恐れはないか。そういった心配する声があるのも承知していながら、なぜ同意条項修正に至ったかというのは、次のような理由によるものです。
・法令の性質上、許可が下りる基準は可能な限り明示できるものである必要がある。
  曖昧な部分を残すことは、もう一方の市民である土地所有者や、誠実な業者の権利侵害  
  につながる恐れがある。(周辺住民の判断力といった問題ではなく、制度として曖昧な部分や非合理的な処分となる恐れがあるものは極力避けなければならない)
・安全上の不安が住民にあることが考えられるが、基準を満たしていることが前提であり、もし具体的に「サンプル数が正確に状況を把握するに足りない」「工法に土壌汚染対策として不十分な問題があり、水脈汚染の恐れがある」といったことがあるのであれば、それは安全基準として明示すべき事項であり、同意条項で的確に選別できる性質のものではない。
・住民が実質的な許可権者となることは、仮に「漠然と不安がある」といったことで反対した場合に、反対理由に合理的理由がないとして訴訟の当事者となるリスクが生じてしまう。
・原案では同意に至るまで住民と業者間に行政の関与は一切なく、同意の判断基準が乏しい。
・このような関係者の同意を条件として求める条例は財産権の侵害が疑われ、類似する話としては国交省の開発指導や過去の産廃処理施設の判例等において「同意行政」は行き過ぎと言われおり、条例制定権の濫用とする見解もある。

そこで、会派で検討したうえで以下の内容の修正案を提出しました。
・同意の義務ではなく、説明会の義務付けとする。
・大規模な事業の説明会については、市職員が立ち会うものとする(技術的・制度的な内容に関して市の基準に適合しているか確認できる)。
・住民理解を得る姿勢がない業者に対して、協議調整の措置をとるよう求めることができる。

委員会において細部のもっともな指摘を頂きましたのでそこは真摯に受け止めたいと思いますが、多くの反対論が「同意条件で問題ない」という前提からお話をされていたのであまり噛み合わず残念でした。(上記で挙げたような同意条項の課題についてどのように考えているのか、あるいはリスク承知で構わないのか、といった議論がもっと必要だと考えています。)

また分かりにくい議会の仕組みの話ですが、委員会で否決はされたものの本会議で最終的な議決が行われるため、本議案はどうなるかまだ分かりません。

住民、土地所有者、(適正な)業者、そして行政にとって、健全な関係となるよう必要なことを考えていきます。