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共同親権についての陳情

今週は各常任委員会での議案審議と、決算の委員会審査の1日目が行われました。

私が所属する文教福祉常任委員会で特に多くの時間が割かれたのは、離婚後の共同親権及び共同養育の法整備に関する(国への)意見書提出を求める陳情について、です。
共同親権/単独親権の議論は非常に難しい問題であるため、今回は委員会前に会派の議員と共に弁護士のところへヒアリングも行った上で委員会に臨みました。

共同親権を含めた今後の家族に関わる法的な問題については、現在法務省・厚労省・最高裁の担当者や弁護士・大学教授の方などからなる「家族法研究会」で議論されているところですが、陳情の趣旨は(共同親権をベースとした考え方で)更なる議論を求めるもの。

確かに、共同親権/単独親権をめぐる議論として、
*一方の親が無断で子どもを連れて出ていき、会えなくなる。
*虚偽でもDVを訴えられると、連絡をとることができなくなる。
*海外では共同親権を導入しているところが多く、国を超えてトラブルとなることがある。EUからも指摘の決議がされている。
といった今回の陳情でも主張されている点は、共同親権を求める立場の方からよく指摘されている点です。

実際に弁護士に確認した中でも、状況からDVが実際にあった蓋然性が低いと思われるケースでも、行政から弁護士に対してでも全く情報が開示されず、(仮に弁護士を介してだとしても)話し合いの余地が無くなってしまっているといったケースも聞きました。

また、今回の陳情の中でも紹介されていましたが、国連子どもの権利委員会からも、「子どもの最善の利益となるときは、共同親権を認めるような法体制を整備すること」という旨の勧告が出されています。

こうした中、今回の陳情では具体的要望として
*同意なき子どもの連れ去りを行った場合に、速やかに子どもを元の場所に戻し、養育について話し合うこと。応じない場合は、連れ去られた側の親に暫定監護権を与えること。
*主たる養育親の決定をフレンドリーペアレント(他方の親により多くの頻度で子を会わせる親)ルールによるものとすること。
*養育費の取り決めに合わせ、年間100日以上の面会・養育を義務化すること。
*DVの受理について警察の捜査を義務付け証拠主義とすること。ねつ造DVについての認定・罰則を強化すること。
といった内容が挙げられていました。

しかしながら、そもそも海外での共同親権制度はその前提として、離婚等に裁判所等が関与する仕組みがあり、当事者の協議で離婚が成立する日本とは異なります。また、親権をはじめとした家庭内のトラブルに対して行政等が積極的に関与する仕組みになっている点も異なります。
表面的な部分だけの導入を行えば、家庭に積極的に介入を行わない日本の制度の司法・行政制度の中で深刻なトラブルが起こりうる、また子どもの環境が不安定になる蓋然性は高くなります。

具体的要望事項としても、非監護親に適切なプロセスなく監護権を与えることは、やはり子どもの環境を非常に不安定にさせるものです。
フレンドリーペアレントルールについては既に裁判所の判断の中で一部取り入れられている考え方であり、それも含めた総合的な判断によっています。同ルールも考え方の一つではありますが、単独親権にせよ共同親権にせよ、養育親に係る決定は子どもの最善の利益を考えた、総合的な判断によるべきです。
面会交流の義務化については、年間100日以上という日数は現状に比して非常にハードルが高く、現実的にも監護親と子どもに大きな負荷となりかねず、仕事や生活への影響も大きくなるため、これもやはり義務化とするほど一般化して「子どもの最善の利益」となるとは考えられません。

先に挙げた国連子どもの権利委員会の勧告についても、あくまでも、「子どもの最善となるときは」共同親権を認めるべきというもので、単に共同親権とすべきというものではありません。

現在、家族法研究会においては、共同親権・単独親権それぞれの課題を踏まえながら、「子どもの最善の利益となる制度はなにか」ということで法体系の見直しが、様々な論点を踏まえて慎重に検討されているところです。

共同親権については、表面的なものではなく、様々な条件を踏まえ、トラブルが起こりにくく、何よりも「子どもの最善の利益」となる制度としての検討が必要であり、本陳情を採択することに反対しました。

上記の旨を委員会で討論として述べ、全員(委員長を除いて5名)採択に反対という結果となりました。
(本会議で改めて採決があります)

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