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議会の廃止と直接民主主義

人口400人の高知・大川村で、議員のなり手がいないため議会を廃止して「町村総会」を設置して直接民主主義制度を検討へ。
実は地方自治法で「町村は議会を廃止して総会を設置できる」ということが元々定められています。
「町村総会」設置には前例少なく課題山積/毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20170501/k00/00m/010/113000c

この問題は「議員のなり手問題」と「現代の小規模自治体において直接民主主義制度は可能か」という2つのポイントがあると考えます。

議員のなり手問題
議員報酬がマスコミで取りあげられるのは、国会議員とせいぜい政令指定都市で市長が報酬を下げると言ったときくらいですが、それ以外の地方自治体はさほど報酬は高くありません。しかも4年に1度選挙で失職リスクがあり、会社のように厚生年金もない…そうなると「サラリーマンをやっていた方が収入的には良い」という状態になります。
実際私もこの状況だったので当初は親の反対を受けました笑
結果、地方議員のなり手が定年後の高齢者か相当に融通がきく個人事業や会社経営、あるいは不労所得がある方に限られがち…ということに(※そういう方が悪いということではなく、偏ってしまうのがどうか…ということです)。
それでもまだなり手がいればよいのですが、記事の大川村では報酬月額15万円ということで、ここからさらに年金や保険料も納めると相当に厳しくなります(さすがにここまで低いのは村レベルの規模くらいですが)。まあこの条件で議員になれる人(なる体力があって生活も成り立たせられる人)はなかなかいないですよね…?
現代の小規模自治体において直接民主主義制度は可能か直接民主主義、と言われても学生の時に教科書で読んだくらいという方も多いのでは。要するに間接的に議員を挟んで物事を決定するのではなく、様々なことを住民投票のように直接賛否を示して決定していくというやり方です。
私は前職でマンション管理の仕事をしていましたが、実はマンション管理組合はかなり直接民主主義に近いやり方で運営を行っています。日常的な諸問題については、一定の権限内でマンション住民から選ばれた理事が判断するという間接民主主義的なものですが、予算・決算の承認や管理規約変更(自治体からしたら条例ですね)を行う際には必ず全住民を対象とした総会の決議をとらなければならないとされています。
ただ、正直に言って「審議の前に複雑な問題を相当数の住民に理解してもらう」というのは50戸も超えればほぼ不可能に近いというのが実情です。
しかしながらその中でも多様な意見や議論がある中で、詳細な内容理解は難しくても「何を重視しているのか」「何が不安なのか」を汲み取ることは可能ですし、総会の場で指摘される場合があるというチェック機能の役割はある程度果たすことが可能です。
私が担当していたマンションは数百戸規模のものもいくつかあり、住民数でいうと1~2千人の単位になってきますが、この間接民主主義+直接民主主義的な制度がそれなりに機能していたことを考えると、マンションの仕組み(区分所有法など)をある程度参考にして小規模自治体の自治制度を検討することもできるのではないかと思います。
もちろんこの類の話に万能薬はありませんので、おそらく委任制度を作らないと総会が成立しない、複雑化した現代の制度での高度な政治判断には不向きなどの課題もありますが、現に議会の成立が危ぶまれているような自治体においては、何がベターなのか、ということで検討しなければなりません。

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